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格式と伝統のある家に響いた泣き声。
それは新たな生命の芽生え。
しかし、歓喜の声が上がるはずの室内には、悲鳴がこだました。
こんな不気味な一部をもった赤ん坊―――
「私の子じゃないわ…‥!!」
母親は失神し、父親は途方に暮れた。
如月家の、唯一の跡取りとなる赤ん坊は、呪われていたのだ。
右目が、人間のモノではない。
『おぎゃぁ!おぎゃぁ!!』
何も知らない赤ん坊は、ただただ産声をあげ、自分の存在を噛み締めている。
それは、如月家の長男・潤[ジュン]の誕生、月のない夜だった。
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