614人が本棚に入れています
本棚に追加
「潤!潤ってば!もう、遅刻するよ?!」
桜に見惚れ、足を止めていた潤を注意する人物が一人。
藍色の髪を春風になびかせ走ってきたのは、彼の幼なじみで同じクラスの源 伊織(みなもと いおり)だった。
「あ、桜…?潤って桜好きだよね!」
「うん。散りゆく中にも力強さが感じられるから…‥」
彼は花びらをそっと掴むと、空を見上げた。
「ボクも、桜みたいに生きたいと思う。」
「そっか…」
と、校舎に備え付けられた時計に目をやった彼女は、ハッと我に返った。
「うわ!もうこんな時間?!あと5分でHR始まっちゃうよ!」
潤の腕を掴むと、彼女は大急ぎでかけだした。
そんな彼女の傍ら、
「うわ、わー」
潤は、間の抜けた声を出しながら引きずられていった。
最初のコメントを投稿しよう!