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すっかり夕闇に包まれた住宅街。 「ただいま。」 一際大きく構える我が家に、力なく帰ってきた長男。 伊織からのケーキを腹に納め、他にもいろいろとプレゼントを受け取った潤は、その贈り物の重さと、部活での疲れにフラつき、腑甲斐なくも玄関に座り込む。 2年生でありながらも、剣道部の主将を務める彼は、友人たちよりも倍、厳しい練習に励んでいたのだ。 規定の部活動時間が過ぎても自主稽古をし、いつも帰宅は8時をまわる。 そんな自慢の息子を、母は笑顔で出迎えた。 「おかえりなさい。今日は潤の誕生日ですから、夕飯はアナタの好物を用意しましたよ。早く着替えてらっしゃい?」 潤を小首を傾げた。 なんで皆、まるで自分の事のように祝い、喜ぶのだろうか。 当の自分は、今日が誕生日ということさえ忘れていたのに…‥ 「はい。」 鼻歌を歌う母に返事をし、2階にある自室へと歩を進めた。
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