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「まったく、お前の睡眠時間は長すぎる……学校が長期の休みだからといって、夜に寝て次の日の夜に起きるとはどういうことだ……」
「いや、それは育ち盛りっつうか何ていうかその……」
「それは違うぞ。……っておっと、そんなことはどうでもいいのだ。それよりお前宛てに手紙が来ていたんだ」
そう言っておじさんはローブの中から左手を出し、手紙の置かれた棚の上を指差した。
「えっ、俺に?」
「もう朝の時点で届いていたのだがな。お前があまりにも寝ているからこんな時間になってしまったのだ」
「あ、あはは……すいません……」
ラドはこの家の住所と『ラドへ』とだけ書かれた封筒に入っている、その手紙を取り出した。
手紙なんて学校以外から届いたことがないので、内心ワクワクする。
「え~と、なになに」
『ラド、急用ができた。すぐにでも孤児院に来てくれ。頼む』
by紫の貴公子
(………………)
「む、どうした。お前の友達だったか?」
「あ、あ~うん……、一応。来てくれだってさ」
「そうか。まぁ行ってやるとよいだろう」
おじさんはそう言った、だがラドは無言で自室に向き直った。
「む、行かぬのか?」
「……どうせ大した用じゃねぇだろうし……めんどくさいから俺はまた寝る」
そう言うとラドは自室に向かった。
「……やれやれ。一体どれだけ寝れば気が済むのやら……」
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