鎮魂歌~序曲~

2/2
前へ
/95ページ
次へ
――――ボクは、いつからこの夢を見続けているんだろうか。 数日前? いや、違う。 この永い時のあいだ、永遠とも言える時間の中でも、ずっと見続けてきた。 君の、皆の悲しみを受けとめるために。 ねぇ、知ってるかい? 道化師は心で泣いていても、顔では笑っているんだって。 皆を悲しませないためにね。 だから僕はその道化師となって、ずっと笑っていようと思うんだ。 すべてが終わる、その時までね。 ――本当は、ボクだって泣きたいよ? 思いきり、涙を流したい。 でも、今はまだその時じゃない。 皆だって、悲しいだろうから。 ボクだけが、涙を流すわけにはいかないから。 だからそれまで、その時が来るまで、ボクは笑顔で君たちの悲しみを受け止めるよ。 さぁ、そろそろ始めようか。 これは、とある少年の鎮魂歌(レクイエム)だ――
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加