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――そのまま奥に進んでいる二人の耳に、なにやら聞き慣れない、ブーン……ブーン……といった、低い呻き声のような音が微かにきこえてきた。
「ん、何の音だ?」
ラドが独り言のように言う。
「いや、わからない。いつもはこんな音は聞こえないのにな……」
エニケスもラドにではなく自分に問い掛けるように言った。
「前にも入ったのかよ」
「ああ、さっき言ったろ?」
二人はそこで、やっと面と向かって会話をした。
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