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閑静な住宅街、建物の明かりもほとんど消されたそんな時間。そんな時間にも関わらず、この町のとある部屋に、快活な大声が響き渡った。
「時は満ちたわ、《ロイヤル・ストレートフラッシュ》よ!」
その声の発信源、それは寝巻き姿の茶髪の女性だった。見ると、彼女は参ったかと言わんばかりの勢いで、五枚のカードをベッドの上に叩きつけていた。
「あ~、また負けちゃいましたぁ……」
その強気な女性に対面するように座った、レモン色の髪の大人しげな少女は、悲しげに肩を落としている。
少女の手元に並んだ5枚のカードは、数字も絵柄もばらばらで、何がしたいのかよく分からない。
だがその表情は悔しげというより、むしろ微笑んでいた。
どうやら彼女は、茶髪の女性とは違って、勝つことで喜びを感じるようなタイプでは無いらしい。
「いやぁ、自分でもつくづく凄いって思うわ。これって何て言うのかしら。運命力? ひょっとして私って才能あるんじゃない? もうこの際珍しいけど、タロット使いにでもなろうかしら」
「そうですねぇ。先輩は何に関しても万能ですからねぇ」
「あはは、まぁそれほどでもあるわよね~!」
満更でもないといった風に、茶髪の女性は笑いながら掌をパタパタと上下させた。
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