思い出

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「--玲奈と知り合ったのは今から3年前の中学2年のころだった。 小さい頃から持っていた喘息がひどかったため、海の見える小さな町の病院に入院することになった。 友達とも離れて、やることのない入院生活はかなり暇だったんだ。 あの日までは……。 その日は病室から見える海をただ眺めていたんだ…」 ――――― 「鷹島くん…だよね?」 ぼーっと海を見ていた涼はびっくりした顔を、話しかけた相手に向けた。 「あっ……ごめんね」 勢いよく玲奈は頭を下げ謝る。 「私、雨宮玲奈!鷹島くんと同じ中2。はじめまして」 元気よく輝くような笑顔で玲奈は自己紹介をする。 「はじめまして…雨宮さんもここの入院患者?そうは見えないけど」 呆気にとられていた涼が少し嫌味を交えながら話す。 「そうだよ。看護士さんもみんなそういうけどね。鷹島くんのこと、担当の三上先生から聞いたんだ」 玲奈は嫌味を気にせず、笑顔で答える。 「ぷっ…。変な女だな。雨宮さんて。でもあんたといると退屈しなくてすみそうだな」 大笑いしながら涼は玲奈にそう告げる。 「でしょ!仲良くしてね」 玲奈が笑っている涼に手を差し出す。
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