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何で、そんなものを顔に付けているのだろう、と不思議に思った。
相変わらず外の風景は田んぼとススキが広がっているのみで、この道はいつまで続くのだろうと思った。少し寒気がした。
また、バスは直線的な道路を走っていた。
ひたすらに走るのみで車内は沈黙していた。
作業服の若い男性も相変わらず、一言も喋らず、ぴくりとも動かず、ただ、一番後ろの座席に座ったままだった。
気が付けば、若い男性の隣にまた見知らぬ男性らしき人が座っていた。見る限りに壮年の男らしかった。若い作業服の男と同じような格好をしていた。またも、顔には白い布を付けて、顔は全く見えなかった。
しばらくすると、突然にその壮年の男が怒鳴りだした。奇声のような叫びで言葉にすらならない音であった。どうやらそれは若い男に対してのもので、何故だか敵対視しているかのようでもあった。若い男は申し訳なさそうな仕草をしては壮年の男をなんとか宥めようとしていた。
もう、何が何やらで、宗治は訳が分からなかった。
無性に我が家が恋しいと思った。
しばらくすると、窓から見えるものは変わっていた。
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