片道切符

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 田んぼとかススキとかの田舎風景は過ぎ去り、本当にそこはよく分からない景色だった。辺りは暗い林のようで、そこには発光する丸い球体やら、四角い物体やら、三角錐のような頭を持つ者が沢山見えた。    宗治はとうとう頭がパンクしそうになって、気持ちが悪くなった。    ここは一体何処なんだ。    このバスは一体何処へ向かっているんだ。    いつ止まるんだ。    バスは止まらない。止まるどころか限りなく加速していく。とうとう窓から見える風景も、物体が線となり、色が光となって、残像となった。    もはや、そこに映るものの判別がつかなくなってしまった。    車内には相変わらず、若い男と壮年の男が後ろの座席に座っていた。その目は布に隠されて見えないが、両方、宗治のことを睨んでいた。そんな気がして、それきり後ろを見ないようにした。      また、バスは直線的な道路を走っていた。    果たして、そこは道路なのかも分からないが、走っているということだけが、確かだった。    バスに乗ってからというもの、もうきっと小一時間は経つだろう。押した降車ボタンは未だ赤く点灯したままだった。
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