片道切符

7/7
前へ
/8ページ
次へ
 宗治は我慢できなくなって、運転手に抗議する。   「いつになったら降りられるんですか。早く学校に行きたいんだ」と。    しかし、返ってきたのは沈黙だった。    運転席を見れば、そこには誰もいなかった。    しかしバスは走り続けていた。    どこまでも走り続けていた。        目が覚める。宗治は悪夢で良かったと心底安堵した。    気が付けば、理由は分からないが、高校前にあるバス亭の前で倒れていた。    何故、自分がこんなところに倒れているのだろうと疑問に思ったが、何より、あの事が夢で良かったと思って、そんなことは気にはならなかった。    まぁいいか。宗治はそう思って、校内へと入っていった。   「それにしても今日はやけに静かだなぁ……」    それがその日の学校の第一印象だった。   ――終
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加