第1章

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1  四つ足パイプ椅子の足を一本象の鼻のように曲げて全体を黄色く塗った[黄色い象のオブジェ]は、私の自信作なのだけど想像したよりも不評らしく人々から無視された。  ラジカセを細かく砕いてから音符に形どった[音の記憶の総称](もちろん自信作)も売れる気配がないし、壊れたテレビの画面にグラビアアイドルの写真を貼った[記号の氾濫](これも自信作)も、缶ビールの空き缶を透明なビニール袋に入れた[明日の労働](当然、自信作)も、売れる気配どころか前を通る人々の興味を引かないようだった。そもそも貸画廊には、人の気配がない。  
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