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目を開ける。映るのは白い天井、白い壁、白いベッド。そして汚れのない白衣に身を包んだ医師。
私の頭には白い包帯。彼に突き飛ばされた際に打ち付けた頭から出血してたっけ。そしてショックで記憶喪失……かな。
「私……醒めたの?」
私は呟いた。そして医師はくるりと半回転して私に背を向け、病室を去ろうとしていた。慌てて私は声をかける。
「あ、あの――」
「残念だよ。まだ醒めないなんて」
「――え……?」
私は目を見開いた。その声、その後姿は――。
扉は閉まり、空間は閉ざされた。
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