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狼は月に向かって手を伸ばす。
けれど、その手は月に届かない。
狼は悲しくなって月に向かって吠えてみた。
「ハァ、またダメだ」
狼は、今日も手は届かなかったなと、ため息をついた。
「じゃあ、またね!」
狼はそう言って、帰っていった。
狼は帰り道で泣いていた。
「僕はこんなに好きなのになんで手は届かないんだろう」
狼は、一年前からあの崖で、月が丸く輝いているのを見てきた。
その度、月に向かって手を伸ばしていた。
何回も何回も、手を伸ばし続けてきた。
手は届かないと知らずに。
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