東シナ海海戦

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「私は忙しい!」  中谷は渋々、無線のスイッチを押した。 「こちら、流星号、総司令本部どうぞ」 『こちら総司令本部、どうぞ』 「磯総司令をお願いする。どうぞ」 『総司令につなぎぐ。どうぞ』 「野村二尉、磯総司令がでますよ。代わってください」 「しょうがないね」 『磯だ、どうした、連絡が途絶えていたぞ』  「野村二尉です。敵潜水艦の魚雷攻撃で私と艦長が意識不明になっておりました。中谷三尉が敵潜水艦と交戦中でしたもので、手が回りませんでした。どうぞ」 『そうか。それは大変だったな。燃料は持ちそうか?』 「到達時には燃料がありません。電池で戦いますが、30分しか持ちません。そちらで、対策を考えてください。どうぞ」 『よし。わかった。なんとかするからな。空母だけは頼むぞ!』 「解りました。空母を撃沈すれば、撤退します」 『よし、了解』 「中谷三尉、聞いた、空母だけ撃沈すればいいってよ」 「潜水艦を沈めたのですが、意外と簡単でした。相手は流星号を魚雷と思って逃げ惑いまして、そして艦にへばりつき後はスパキャビ砲をぶっ放すだけでした」 「相手も馬鹿じゃないから次は何か手を考えてるはずよ。攻撃作戦は私が考える。解った!」 「了解。その方がいいです。一人二役をするのは辛いから」 「何、訳のわからないこと言ってるの…。どうせすべて記録が残ってますから後で検証します」 「それだけは、やめてください!」
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