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「海底の起伏に合わせては、私達がもたない。海底から距離をあけて航行して、魚雷がきたら、その時だけ、好きなように航行していい。そして艦長の頭を固定して」
「了解」
中谷は横たわっている艦長の頭にタオルを巻きガムテープで座席に固定して、急いで席につき、流星号を発艦させた。
その後すぐに、大画面に魚雷が2発、敵潜水艦から発射されたことが表示された。画面に速力190ノットで到達時間は6秒と出ていた。
「中谷三尉、後退!」
野村が大声で叫んだ。中谷がジェットポンプを逆転させた。
艦が停止して後退しだした。
ドーン!
前方100メートル付近の海底に通常魚雷の三分の一程度の爆発がおきた。
「よかった。新型魚雷は、スピードはあるが、爆発力は大したことは無かった。通常の炸薬なら、脳みそがつぶれていた」
野村がホッとして、
「前進!こちらのスピードが速いから、敵潜水艦を振り切って」
「了解」
「新型魚雷はホーミング装置がついてなさそう。それで、艦首を下げて、発射管をむけなければ、発射できない。長く艦首を下げて航行は出来ないし、小さな的にも当たらない、海底をこのまま抜ければ敵艦の下を抜けることが出来る」
「野村二尉、ホーミング魚雷がきた場合はどうします?」
「操舵とスピードでかわして。今度、近くで爆発すると、頭がもたない。中谷三尉、これはレースよ。燃料ギリギリでゴールするのよ!ピットインしている暇はないのよ!」
「よっしゃ!後3ラップでゴールですね。気合を入れてやります」
中谷三尉が自分の操舵にすべてがかかっていることで気合がはいった。
大画面にパトランプが点灯しっぱなしで魚雷接近と何回も表示が出た。
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