東シナ海海戦

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「ホーミング魚雷が6発、前方、他方向から魚雷がくる!」  野村が放つ。 「わかってます。すべて任せてください。画面を有視界モードに切り替えてください」  中谷がレースと同じ戦闘モードになり、落ち着いている。 「了解」  中谷は、目で魚雷を見て流星号に激突する直前でかわす方法をとった。魚雷はまだ点でしか見えない、それが次第に大きくなってゆく、第1発目が前面に迫ってきた。もう目の前だ。中谷はできるだけ引きつけて操舵ハンドルを左にすこし回してすぐに元に戻した。魚雷は流星号をかすめて見事に通りすぎていった。また、大画面に魚雷が方向を変えて目の前に現れた、今度は右に素早く少し切った。その要領でホーミング魚雷を六本全部かわした。しかし、新たに正面から敵潜水艦から発射された六本の魚雷が迫っている。 「中谷!通過した魚雷もユーターンして迫ってきている!」  野村が叫んだ!  中谷はあきらめない!何をするのか、操舵ハンドルを力一杯引っ張り、急速浮上した。 「何をする!」  野村がまた叫んだ! 「飛びます!」  流星号の後を追って、12本の魚雷は、急速に浮上してきた。どんどん魚雷は迫ってくる。もうどこにもかわすスペースが無い、もうすぐ海面だ、中谷は操舵ハンドルを握りしめ、すこし前方に押しこんだ。艦の向きが垂直から少し前向きになった。流星号が水面に飛び出た。その勢いでマグロのように空中を飛び、水面に1回跳ねて、海中に潜った。魚雷も同じように海面に跳ねたが落ちたショックで次々爆発し、すべての魚雷は海面で爆発した。 「フー。どうですいい考えでしょう。海面で爆発しましたから爆発のエネルギーは空中に逃げ、衝撃波は海中にこなかったでしょう」
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