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中谷がハンドルの発射ボタンを二回押した。
プシューシュルル……
「短魚雷2発、発射確認、速力30ノット」
野村が言う。
「了解」
中谷が、
「あっ、短魚雷の速力が上がりません。野村二尉、魚雷が壊れてます!」
中谷が慌てた。
野村が、
「それでいい。その魚雷の後方1000メートルに着け」
中谷が感心して、
「了解。なるほど、魚雷に露払いをしてもらっているのですね。この作戦、戦史に残りますよ」
「生きていたらね?」
野村が少し微笑んだ。
「私は死ねない、じゃないのですか?わがままな人だ!」
大画面にパトランプ点灯したと同時に野村が、
「後方2000メートル、ホーミング魚雷、一発確認、速力55ノット接近中」
野村がキーボードをすばやく叩いた。
野村が、
「3番短魚雷データ入力完了。3番魚雷発射!」
「発射!」
「3番魚雷発射確認!えっ、今度はユーターンしてます。後方の敵魚雷に向かってます」
中谷がまた驚いた。
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