東シナ海海戦

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「前方、敵魚雷確認、16本放射状に向かってくる。新型魚雷、速力190ノット、1番、2番魚雷自爆用意!」  野村が怒鳴った。  野村が、キーボードの横にある魚雷自爆ボタンのカバーを外して指を掛けた。 「魚雷自爆準備よし!」 「前面魚雷、距離2000」 「距離1700」 「距離1500」 「距離1200」 「自爆!急速潜航!」  野村が自爆専用音波を短魚雷に発信した。 ドゴーン、ドゴーン……  海中で1、2番魚雷が自爆専用音波に反応して爆破しそれに誘爆して、中国の新型魚雷が爆発した。爆音が何度も海中に轟いた。 「敵新型魚雷、確認、方向は、当艦でない方向に進んでいる。後方、3番魚雷も爆破、敵魚雷すべて誘曝」  野村が画面を見ながら小さくガッツホーズをした。  山下が野村と中谷を祝福するかのように微笑んだ。 「野村二尉、中谷三尉、よくやった!これで海中は爆音と気泡で充満している。中国艦隊まではこのままたどりつける。私は寝ていた方がいいな」  野村が、 「中国艦隊まで残り15キロ、もうすぐ前方5キロ先の海面で2番ハープーンが爆発します」  中谷が驚っきぱなしで、 「えっ、今ごろまでどこを飛んでいたのですか?」 「中国艦隊を偵察させて、ユーターンさせた」  野村が得意げに言った。 「そんな芸当できるのですか?」
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