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野村が、
「……前方、敵潜水艦、距離1500メートル。…敵潜水艦2艦。深度220メートル…。2艦とも敵潜水艦転舵、開始。逃げてる!」
「敵潜水艦、距離1000メートル」
「逃がさん!」
中谷がさらに目を見開いた。
「敵潜水艦、距離700メートル」
突然後方から
ドゴーン ドゴーン……
流星号に引きつられ中国艦体に向かっている危険な敵魚雷群を敵潜水艦が自爆させたのだ。
魚雷の大爆発音で、大画面が乱れ、画像が歪んだが何とか敵潜水艦を確認できた。爆発音に耐える音波検出器の設計が功をそうしたのだ。
海中は、魚雷の無数の爆発で、雑音が充満し通常ソナーでは役にたたない状態になった。
「後方魚雷、自爆、誘爆中!」
「敵潜水艦距離、300メートル」
「スパキャビ砲、発射…」
中谷は画面の真ん中にいる潜水艦めがけてスパキャビ砲を連射した。
敵潜水艦の艦体に無数の穴があき、すべて穴から海水を渦を巻いて吸い込んでゆく、そこから血しぶきのように内部の光が放射される。流星号はその下を、するっと下に方向を変えすり抜けた。
「4番魚雷データ入力完了」
野村がキーボードを叩いた。
「4番魚雷発射!」
4番魚雷は発射後大きくユーターンして、右後方に逃げているもう1艦の敵潜水艦に向かった。
しばらくして、ドーンと腹に響く死の音がした。敵潜水艦を撃沈したのだ。
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