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野村が叫んだ。
「他に作戦はあるか!燃料はあるか!生き残れるすべはあるか!」
山下が威圧的に言う。
「ありません」
野村が山下の圧力に負けた。
山下が、
「今、ミサイル攻撃が終わった瞬間しか攻撃のチャンスはない。もう電池が切れる」
中谷が、
「賭ですね」
山下が、
「そうだ。中谷三尉、深度20メートルで空母に一直線で突撃しろ、スパキャビ砲を撃ち放て!」
「……」
中谷が返事をしなかった。
「どうした。中谷三尉、怖気づいたのか?」
「最後の祈りをして、突撃します」
中谷が天を仰いで何かを言った。いつも行うレース前の儀式を済ませた。
野村が、
「海中がクリアになりつつあります」
山下が
「突撃!!」
流星号は巡洋艦の下から全速力で敵、空母に突撃した。空母のソナーには流星号の轟音が大きく映っているに違いない。
野村が、
「空母距離800メートル、対潜ミサイルなし、魚雷なし。あっ!敵潜水艦横向きに前面に浮上、激突します」
「スパキャビ砲、撃て!」
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