714人が本棚に入れています
本棚に追加
/262ページ
山下が怒鳴った。
中谷は空母を守るため身をていして浮上してきた潜水艦の心臓部に連射した。スパキャビ砲から数十発の弾が発射され、敵潜水艦の穴から光が、血が吹き出るかのように噴出した。そして死んだ人間のようにゆっくりと、沈んでいった。
野村が、
「新たな敵潜水艦、急浮上!」
山下が、
「撃て!」
中谷は、また浮上してきた潜水艦に涙を流しながら、スパキャビ砲を連射した。
「何で前に出るんだ!自殺行為だ!その中には80人もの人間が乗っているのだぞ、頼むもう来るなー!」
潜水艦はもう息絶えているが、中谷は、撃ち続けた。
山下が、
「中谷、撃つなー!」
「ドン、ドン、……」
中谷は山下の声が聞こえてなかった。空母を撃破する弾まで撃ち尽くしたのだ。
「操舵交代!」
山下が操舵者スイッチを艦長に切り替えて中谷から操舵を奪った。
山下が、
「このまま、突撃する!」
野村が山下を睨む。
「弾はもう無いです!危険です!」
野村が叫んで、山下を制止しようとシートベルトを外そうとした。
それを見た山下が、
「命令だ!席につけ!」
最初のコメントを投稿しよう!