プロローグ

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 三原首相は高ぶっていた。 「はい。アメリカの手を借りずに世界一の戦闘型潜水艦を作ります」 「よし、頼むぞ!」  防衛大臣と磯は首相官邸を後にして公用車の中で、 「大臣、総理は決断が早いですね。予算は本当に付くのですかね」 「必ず付く。俺達は一年以内に結果を出さないと姿を消すはめになるぞ。おい、磯、ほんとうにゼロ戦なみの潜水艦が出きるのか?」 「海自の威信をかけて作ります。すでに研究をしてますので御心配無く。総理は三年と言ってましたが二年半で完成させます」 「そうか頼むぞ。それと首相の息のかかった企業を使えよ。自衛隊法と関連法を改正すれば武器も輸出できるようになるからな。中国には人口以外で負けるわけにはゆかない」 「はい、解っております」  翌朝、磯幕僚長は潜水艦開発担当責任者の浜田潜水艦司令、大村海自技研所長、関潜水艦開発室長を防衛省に呼びつけ、会議をしていた。会議の内容は次期戦闘型潜水艦の話である。 「大村、以前、君らが強く推薦していた小型潜水艦の話を詳しくしてくれ」 「はっ、山下三佐が作った設計図の概略図面も持って参りました」  大村一佐は以前から戦闘型潜水艦を研究していた。潜水艦開発の最高責任者である。  大村と関は、流星号のすばらしさを熱心に磯幕僚長に説明した。 「素晴らしいのは解ったが、念を押して聞くのだが、それをほんとうに現実に作れるのか!」 「当然、絵に描いた餅では話になりません。海自技研や他企業で各部を検証した結果、すべて、実現できると回答を得ておりますし、その回答を私らが細部にわたり検討しました」
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