〓所轄〓

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舘が気になっているのは、この時間にも関わらず酒の臭いもせず、背広も乱れていない!ましてや、タクシーを探しているのに人気のない裏道を歩いているからである。 (舘)『お父さん、会社はどこ?何か身分証明書ある?』 男は準備していたかの様に免許証を出した。 (舘)『群馬から来たの?出張かな?』 (男)『子会社がありまして、そこに出向してるんですよ。』 (舘)『大変だね!(笑)』 笑いながら、免許証の控えをとる。 内山もようやく状況に気付いたのか舘の耳元で囁く。 (内山)『先輩、この人ノビじゃないっすか!?』 ノビとは忍び込みから来た空き巣の隠語。 舘は冷静に世間話に戻す。 (舘)『それにしてもお父さん良い体してますね!』 (男)『何をおっしゃいます、刑事さんこそ!』 そのやり取りを聞いて内山は思わず舘に突っ込む! (内山)『先輩、そっちだったんだ!』 舘には全く聞こえていない様で二人の会話は続いていた。 (舘)『いや~!俺は駄目っすよ。最近サボってて』 そう言いながら舘は男の体にちょっとだけ手を触れた。 すると!(カチャ)という金属音がした。 (内山)『先輩、何やってんすか?』 内山は慌てて舘を止める。
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