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四方を川に囲まれた街、河島市<カワジマ>。
隣の街に行くには東西に架かっている橋を渡るしかない河島市では寒空の下市長選挙の演説が行われていた。
「私はこの街を世界に誇れる街にする自信があります!!」
選挙最終日。
候補者の演説にも熱が入る。
広場で候補者は演説を聞いてくれ、応援してくれている有権者1人1人の握手に応じていた。
候補者が握手を終え、選挙カーに戻ろうと手を振りながら候補者が歩いていた。すると、車の横からボロボロの服を着て顔色の悪い浮浪者らしき人が手を差し出し歩き近寄った。
「握手ですね。応援ありがとうございます。」
「!!?」
「何をするんだっ!?」
浮浪者はいきなり候補者の手に噛み付き、指を噛みちぎった。
候補者は苦悶の表情を浮かべ浮浪者を振り払った。
「くッ……」
深紅の血液が滴る腕を押さえる。
振り払われた浮浪者は数歩後退りし、警備の男達にすぐさま取り押さえられ、警察に引き渡された。
その際に浮浪者が暴れ多数の人が傷を負ったが、さほどの傷でなかったので気にする者はいなかった。
今思えば…
これが全ての…
始まりだったのかもしれない…
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