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テレビ『只今、河島市中央通りに来ております。
ご覧の用に河島市病院前は凄い数の人で騒然としています。
ここに来る人達は皆、高熱を出して激しく暴れまるという症状がでるそうです。
病名などはまだ分かっていないと言う事ですが、感染症の可能性があるため外出を控え外部の人との接触は避けて下さいとの事です。』
レポーターらしき女性が救急隊員や患者の家族たちにもみくちゃにされながら原稿を読んでいた。
そして、映像はヘリによる上空からの映像に変わる。病院前の中央通りは大変な騒ぎだ。
中央通りを埋め尽くす車が宝石箱を開けた時のような眩い光を放っている。
その列は数キロにわたっているだろう。
父「大体は分かっただろ。父さんは緊急召集がかかって出掛けなくちゃいけない…。この家は将文と母さんと千夏だけになる。男はお前一人だ。父さんの言いたい事分かるな…?」
いつもとは違い真面目な口調で言った。
将文「分かった。行っていいよ。家は俺に任せて。」
この時の俺は軽い気持ちで答えてしまった。
父「そうか。将文がそう言ってくれれば安心だ。」
父さんは安堵の表情を浮かべ幾分か普段の顔に戻っていた。
将文「ただし母さんと千夏を悲しませるような事はするなよ!」
父「ああ、もちろんだ。じゃあ将文、後は頼んだぞ!家からは指示があるまで出るなよ。」
荷物を持ちながら父さんはそう言うと部屋を出ていった。
その後を母さんが心配そうな面持ちで歩いてついていき、見送った。
まだ9歳の妹、千夏はウトウトしていたが俺はすっかり目が覚めていた。
しばらくの間俺はニュースを見ていた。
他のチャンネルに回しても同じ事についての話しかしていない。
被害は拡大中、家から出ないようにと口々に同じ事を専門家っぽい装いの人が述べている。
テレビ『今入った情報です。昨日行われた選挙で初当選を果たした鴨川茂明さん(60歳)が高熱によりお亡くなりになりました。鴨川さんは昨日の選挙最終日の演説中に浮浪者の男に襲われケガを負っていたとの事です。
なお、鴨川さんを襲った浮浪者も逮捕後、高熱のため数時間で死亡したと言う事です。』
とニュース速報が流れた…
そのニュース速報を特に意識する事なく俺はテレビを消して部屋へ戻った…
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