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けれど何やら楽しそうな雰囲気がヒシヒシと伝わってきた
楽しそうに笑うヒロと彼女
私が入り込む余地などないように見えた
私の顔は一瞬にして凍りついた
目の前がユラユラと揺らいで見える
目に映る全ての物が色を失った
ヒロと彼女の笑った顔が私の胸に突き刺さる
胸が痛い
けれどどうする事も出来ず、体が硬直していた
頭のてっぺんから
爪先まで
指の一本も動かない
その間にヒロと彼女は店を出て行った
「ヒロ、待って!!」
私は心の中でそう呟くと、必死に体を動かそうとした
やっと解放された体で、ヒロを追いかけた
店の外まで急いで出ると
「ヒロ!!」
そう叫んだ
周りの人達が私の声に振り返ったが、そんなの関係ない
必死でヒロの姿を探した
けれどもうどこにもヒロの姿はなかった
人混みに紛れ、ヒロはどこかに消えてしまっていた
私はその場所に立ち尽くすしかなかった
私はおもむろにバッグから携帯を取り出すと、ヒロに電話をした
プルルルルル
プルルルルルーー
「もしもし」
ヒロが出た
私は冷静を装った
「もしもし、ヒロ。
今何してるの?」
「あぁ。。
今先輩と遊んでるとこ。
どうした?
何かあった!?」
「ううん、何でもない。
ごめんね、遊んでるとこ。
じゃあ、明日」
そう言って電話を切った
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