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…ひとりたりない。   ぼんやりと朝配られたクラス写真を見ながら思う。   (確か僕のクラスは…)   あまりあてにならない記憶を辿るのをやめ、素直に机の数を目で数え始める。 高校に入学してからまだ二週間もたたないが、なにやらそれなりにみんな気の合う仲間を見つけ落ち着いている。 僕はというと、ようやくの休み時間に配られたクラス写真を見て机の数を数えているのだから…そういうことだ。   (やっぱ足りないじゃん…)  数えてみると、机の数は写真の人数とひとつ違いの39だ。 数え間違いかと思い、写真を数え直したがやはりひとり足りない。 (写真撮影に休んだやつがいたのか…。) 必ずそういうやつはいるよな、などと妙に納得しつつクラス写真をしまう。 僕も、中学の写真撮影は全て休んでしまった。 卒業アルバムですら、僕はいない。 いないひとがいたことが分かると、女子か男子かが気になってきた。 このクラスで今いるのは女子も男子も19人だ。隣り合う机を数えてみた。 そんな十九組の隣り合う机の中に、さっき数えたとき危うく見落としかけた机がある。 ひとつだけ、使われていない机が後ろの列にある。
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