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すぐ黒板に向かうが、どうにも気になる。 問題は案外簡単に解けたが、すぐに席に向かうしかない。   せっかくだが仕方ないだろう。 仕方がないのでさりげなく消しゴムを戻る前に教卓の下に落としておいた。 これならば陽気なやつらがまたここではしゃいでも、消しゴムを取りにきたついでということで座席表も見れるじゃないか。   一体何が僕をこうさせるのだろう…。普通にただ見りゃいい話じゃないか…。   じりじりしながら授業が終わるのを待つ。 先生が僕の数字を見間違えて、回答に×を付けた瞬間は引退しろと強く思った。   ようやく授業が終わり、席を立って教卓へ向かおうとしたときに陽気なやつらが教卓へと突進してきた。   一体何がお前らをそうさせるんだ。   すると、ひとりが教卓の下から消しゴムを拾い上げて廊下へと仲間たちと共に出ていった。 きっとキャッチボールでもするつもりだろう。 なるほど、ナイスアイディアだ。   返せ、僕の消しゴム。   溜め息混じりに教卓に立ち、ひとつだけの机の名を見る。   「…え…」 苗字はペンで塗り潰されており、名前も穴があけられていた。
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