雨呼ぶ子

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       1 朝陽が痛い。普段からぼんやりしている目が重たくて、さらに半目になっている。 こんなに早起きしたのは何日ぶりだろう… 「なぁ、茜。やっぱ俺が中学生ってムリないか?」 くわえ煙草のクロは頭をぐしゃぐしゃ掻いて呟いた。その独り言のような言葉に、肩に引っかけたスポーツバッグがもぞもぞ動く。 「大丈夫よ、アンタの見た目は十分中学生だから」 艶のある女の声が返ってきた。 「てめぇ!俺はなぁ、これでも立派な…」 とっさに反論しようとして言葉につまった。 俺は、何者なんだっけ… 自分には過去の記憶が一切ない。思うように言い返せない腹いせに力一杯バッグを振り回した。バッグから悲鳴があがる。
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