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夕暮れの屋上に、少年と貂の長い影がのびている。
「水上家は雨男が生まれやすい血統なんだろ?じゃ、対象者は未覚醒のあいつじゃなくても、父親でもよくねぇか?」
コンクリートの地面に寝転がったまま、クロは茜にふり返った。
「父親は婿よ。もともと水上は女系なの。数年にひとり生まれる直系男児にのみ能力が引き継がれていくらしいのよ。だから、調査対象は彼でなきゃダメ」
ということは、彼の能力が覚醒して、さらにその能力がいかなるものかを確認するまでは調査が完了しないということになる。いつ終わるか分からない中学生生活に、クロはあからさまに渋い顔をした。
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