963人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっ…、本当に意味分かんないんですけど!こんなファンタジーみたいなノリに乗れるか!!!」
「うん、信じれないのは分かるけど本当なんだよ。一緒に来てもらう」
「行くなんて行ってないし!大体どこへ行くのよ!」
「本の中」
その答えに、美佳は「ははは」と渇いた笑いをしながら肩をすくめてみせた。
「私はウサギの遊びに付き合ってる程暇じゃないのよ?それにおかしいし!」
白ウサギが喋る時点で十分おかしいのだが、敢えてそこはツッコミをいれなかった様だ。
「ごめんね。でも、連れていかなくちゃいけない」
シロと名乗ったウサギはそう言うと、両手を広げて目を閉じた。
嘘だと思いたかった。
夢なら早く覚めて欲しかった。
目の前にはブラックホールみたいな大きな黒い歪み。
「いらっしゃいませ。僕らの姫君」
これは夢だ。
きっと疲れてたのね…。
起きたらいつもの日常が始まるわ。
きっと大丈夫だよ。
美佳は自分にそう言い聞かせながら、段々意識が遠のいていった。
最初のコメントを投稿しよう!