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「ヘリと航空機では訳が違いますからね。では、我々が乗る艦は?」
新しく空母が進水したという話は聞いてない。
「半年後に竣工予定の海自最大級航空母艦『じゅんよう』だ。
過去最大の戦闘艦にして、世界トップクラスの能力を持つ」
「そんな巨艦が進水式を挙げたなんて聞いた事無いですよ?」
戦闘機運用能力を持つとすれば、相当な排水量になる。F-15を積もうと言うなら尚更だ。
「前々から噂にはされていたんじゃが、マスコミを極力押さえたお陰で、大事にならずに済んだ」
「カタパルト等は?」
「機体に合わせられる。発着艦時に、機体に負担がかからないように建造された艦だ。
ほぼどんな機体でも楽に飛ばせる。限界はあるがな。まあ、何とかなろうよ」
素晴らしい。他国を圧巻する艦だ。
「早く見てみたいものですよ。その艦を」
「その為には訓練を抜かり無くな」
「了解しました。では、失礼してもよろしいでしょうか」
司令に許可を貰う。
「良いよ」
俺と旗長は、司令に一礼して司令室を退出した。
「空母を作ってたなんて、知らなかったなあ」
格納庫の隅で2人で煙草を吸っていたら、旗長が言った。
「同感だよ。しかも、俺達の機体が載せられるなんて…」
驚愕だ。米海軍空母で、8万トンだ。
ましてや、イーグルが積めるのだから、軽く見積もっても9万トン以上はある。
ひゅうが型7隻分といったところか。
「化け物ですね。旧海軍の『大和』なんか目じゃないですよ」
旗長は短くなった煙草の吸い殻を缶に入れて新しい煙草に火を着けた。
「世界最大。超弩級じゃなくて超隼級っていう言葉が出来そうだな」
「どういう事ですか?」
旗長が不思議そうな顔をする。
「弩級の弩は何処の国か忘れたんだが…確かイギリスだったかな。
まあ、どっかの海軍さんの戦艦『ドレッドノート』級からきたんだ。
だから、正式には弩級ってのはドレッドノート級の事だ。とはいえ、昔々だからな。
戦艦大和なんかは超超超超弩級みたいに超が何度もつくことになろうな」
これは昔覚えた雑学だ。
「へぇ…知らなかったなあ。隊長、実は海上自衛隊志望だったんじゃないんですか?」
旗長は何ともなしに言ったつもりだろうが、これは響いた。
「あ…れ?図星だったんですか?」
「いやいやいやいや」
必死に否定したが、無駄だった。
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