イチ…9月~11月

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「あの、大丈夫ですか?」  とか言いながら前のコンクールよりもちょっと髪伸びたなとか、いいなぁ僕より身長高くて。今は170ぐらいかなとか、こっそり観察しながらなるべく平静を装い言葉を続けました。 「気分でも悪いのですか?救急車、呼びますか?」  うつむいていた加賀見さんが僕を見ている。  それだけで僕の胸は壊れたように脈打ちます。  何故か僕を見てびっくりしたような表情をしたのですがすぐに優しく笑って、 「大丈夫、ごめんね。酒を呑んでいただけ。」  と言ってくれました。  正直にごめんなさい、見て解っていました。貴方と話したかっただけです、とは言えずまるで心配だったから声をかけたようなことを言いながら(実際泣いていたことは心配でしたが)僕はなんとか、話を続けようと 「ところで、なんでこんな所で一人でお酒を?友達とかは?まさか一人で?」  自分も人のことは言えませんが、あまり人通りのない公園だし危なくないだろうか。そう思ったことも事実です。  加賀見さんは困ったような表情。  ヤバい。地雷ですか?と思い、何か言おうとしたら、 「まぁ、呑み友達ぐらいはいるよ。ただ、情けないし、恥ずかしいから」  ボソッと答えてくれました。僕は思わず、 「え?」  と、間の抜けた返答しか出来ませんでした。そして、加賀見さんは泣きそうな表情で言葉を続けました。 「…フラレて、自棄酒。」  マジですか。  一瞬思考停止しかけましたが加賀見さんの泣きそうな表情に気づき、すぐに謝罪しました。  加賀見さんは僕に笑いかけ、 「気にしないでいいよ。本当に嫌なことは言わないし。君さえよければ、少し話し相手になってくれないか?」  と僕を許してくれただけでなく、願いを叶えてくれたのでした。
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