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偶然はすごい。
そんなことを考えていたら、会いたい人が公園の入り口に立っていました。
僕は嬉しくてベンチから立ち上がり手を振ったけれど、啓さんは表情を曇らせ走り去ってしまいました。
確かに啓さんは僕を見ていたはずなのに、僕の前から走り去ってしまったのです。
僕は追いかけることも忘れ、ただ啓さんの後ろ姿を見つめていました。
繋いだ手を振り払われたような感覚。ただショックで、隣の神津さんが何か言っていたけど全然頭に入ってきませんでした。
何がそんなにショックだったのでしょう。
なんで啓さんを追いかけられなかったのでしょう。
何度も混乱する頭で考えたけど、答えは出ませんでした。
今なら解る。簡単なことでした。
僕はどうしようもなく怖かったのです。
啓さんに嫌われるのが怖くて、拒絶されるのが嫌だったのです。
ただ、それだけ。
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