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‥‥‥。
「あの、大丈夫ですか?」
ちょっと意識が飛んでいた。
やばい、やばい。流石にまだ9月で暖かいとはいえ、こんな所で寝てしまうなんて…
「気分でも悪いのですか?救急車、呼びますか?」
呼ばれてはマズイ。慌てて声の主を見上げた。
そして、びっくりした。
相手があまりにも綺麗だったから。
淡い茶色の髪と蒼い瞳。栗色の長い睫毛。フランス人形みたいに白く、整った顔立ち。ふちなしの眼鏡をかけ、深緑のトレーナーにジャージを着ていた。年は、中学か高校生ぐらいかな。
「大丈夫、ごめんね。酒を呑んでいただけ」
そう言って笑った。少年は驚いた顔をしたけど、なんともないなら良かったです、と笑い返してくれた。みとれてしまうほどに、綺麗な笑顔だった。
「ところで、なんでこんな所で一人でお酒を?友達とかは?まさか一人で?」
綺麗な顔して、痛い所をついてくるなぁ…
「まぁ、呑み友達ぐらいはいるよ。ただ、情けないし、恥ずかしいから」
「え?」
「…フラレて、自棄酒」
少年の瞳がびっくりしたように見開かれる。明らかにマズイことを聞いてしまった、という表情。彼はすぐに、
「無神経なことを聞きました。すいません」
と、謝ってくれた。今どき珍しくいい子だなぁ、と嬉しくなった。
「気にしないでいいよ。本当に嫌なことは言わないし。君さえよければ、少し話し相手になってくれないか」
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