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――クラヴァンス・レジティア
密林に覆われた国アジェスタ出身
隠密行動を得意とするアジェスタ政府が抱える闇組織
『ファルコ』の大尉――
俺は敵国チェルス軍が、アジェスタの管理するバルコニア湿地帯に進入したと聞き情報収集に向かった。
バルコニア湿地帯はファルコの訓練地として使われていた事もあり、庭みたいなものだった。
何人かの部下を連れて調査に当たったんだが、一瞬の隙をつかれて取り囲まれ戦闘にもつれ込む。
しかし応戦中に何者かに殴られ、訓練中には『古の闇』と呼ばれている底の見えない崖に落ちた。
覚えているのはそこまで……
『……ッ……』
朝露が頬を伝い、その冷たさで俺は目を覚ました。
人間の体というものは、普段鍛えていてもやはり脆いもので、今は首を上げ周りを見回すのが精一杯だ。
体中痣だらけ、打ち砕かれた骨は悲鳴を上げて、俺は自分の意志で上半身を持ち上げることさえほぼ困難に近い。
ともかく、ファルコに帰らねば……
まだハッキリしない意識を集中して周りを見渡すと、バルコニア湿地帯には生息しない植物が根を付けていた。
――ここは……どこだ――
そう思うほど『古の闇』の底は見たこともない景色が広がっていた。
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