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「ここに住んでるのか?」
振り返りこちらを見る顔の眉間にはシワが寄っている。
「俺はリディア・ダグラス、ダグラスってタマでもないし、リディアでいいよ。てかさ、挨拶も無しに人のプライベート聞こうなんてアンタ趣味悪くない?」
「……クラヴァンス・レジティア」
「クラヴァンスね、なんかさ、かなり警戒してるみたいだけど、心配しなくていいよ、俺達はアンタをどうこうする気はこれっぽっちもないから! ただ倒れてたから助けた、それだけ! いい人でしょ、俺達」
無邪気にニッと笑う
このリディアという少年の表情は喜怒哀楽が激しく、長年軍で教育された俺には、この表情の変化さえも珍しく思えた。
「……助けられた事には礼を言う。体が動かないから、危うく野垂れ死ぬとこだった、ありがとう。それで、君達はここに住んでいるのかという質問の回答は貰えないのか?」
「後にしようよ、俺は名前が聞けて満足だし、クラヴァンスも少し休んだら? ウチに着いたら色々聞いてやる」
……ある意味手強い相手かもしれない。
少しふてぶてしい態度のリディアは、相手を自分のペースに巻き込むタイプだ。
しかし、子供相手にムキになるワケにもいかず、俺はまた口をつむんで彼らに身を任せた……
――幻想的な景色ばかり――
――ここが古の闇の中なのか――
そして15分程歩いただろうか?
小さな家があり、そこのベッドに運ばれ彼らから傷の手当を受けた。
一段落してリディアの仲間が飲み物をとミルクを置いて部屋をでていく。
するとリディアがベッドの脇にイスを置き、穏やかな面持ちで話しかけてきた。
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