・園遊会は薔薇の苑で・

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「そういえば クグロフというと かの有名な王妃 マリーアントワネットを 思い出しますな」 イレーヌの隣りに いた老人が つぶやいた。 「そういえば… 薔薇の贈呈式は ヴェルサイユの儀式から 受け継がれたと 聞いたことがありますわ とても素敵ですわね 懐かしいわ」 イレーヌの母は そう言った。 「お父様とお母様の 薔薇の贈呈式は いかがでしたの?」 イレーヌは 母にたずねた。 「ダンヴェール家の 薔薇の贈呈式は 貴族との結婚 以外にはできないの わたくしは 子爵家の出でしたから 出来ましたし イレーヌあなたも サンピエリ伯爵との 結婚で出来ましたわね 詳しくは知らないけれど 何かの縁担ぎで ございましょう」 母は微笑みながら いうと、 「本日は薔薇の贈呈式に お集まりいただき ありがとうございます。 本来ならば花婿である サンピエリ伯爵家の方が ご挨拶をするのですが ご両親、親戚を 亡くされているため わたくしが ご挨拶させて いただきました」 そうこれで 優雅でいささか 堅苦しい 薔薇の贈呈式は 終わる。
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