始まりの詩

2/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 風が吹きまだまだ実らぬ黄緑色の稲穂が揺れて、蒸し暑い空気の中、涼しい風が頬を撫でて優しく髪を解かす。田んぼや畑、農園や牧場のあり、レンガ造りの家の並ぶ少し大きめな村に、好奇心旺盛で恐がりな少年レオンは、母のサラサと姉のマリーと暮らしていた。決して裕福ではなく、贅沢なんて出来なかったが、畑も農園もあって牛のクリーネと馬のカールもいたので、それなりに幸せな生活を送っていた。 ただ1つ、贅沢をしてもいいというなら、レオンはこの村から出て旅をしてみたかった。 クリーネのミルクをしぼっている時も、畑で野菜を収穫している時も、草原で横になり夜空を眺めている時も、村の外や山の向こう側に思いを馳せていた。 .
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!