始まりの詩

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それを考えていることは、サラサもマリーも知らない。知っていると言えば、いつもその事を語りかけていた仲良しな馬のカールくらいだ。レオンが落ち込んでいたり、ムスッとした表情をしていると、いつも元気づけてくれていた。カールが喋れなくて良かったと思うレオンだった。馬はお喋りそうだったから。なんとなく。 そんなある日、村に旅人が訪れた。日も暮れる時間だったため、その旅人は村長の家に泊まることとなり、村長婦人が慌てて夕食の支度をしていた。 気になってしょうがないレオンは、夕食の時間になっても、村長宅から離れず、村の子数人と窓から中を覗いていた。 暫くして、食事が終わったのか、村長夫妻と何か言葉を交わし、立ち上がると、レオン達がいる窓を見ると、その部屋から出ていった。 「やべっ、こっちくんじゃないか?!」 「逃げるぞ!」 子ども達はそう言うやいなや、走って帰っていった。レオン以外は。 「やぁ、君だけかな?残っているのは」 にこにこと、ショートより長い髪を後ろでリボンを使って結っている旅人が話しかけてきた。
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