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――もうこの世界は終わってしまった。
世界でただ一人の住人だった少女はいなくなり、存在する必要がなくなった世界。
少女がいなくなると共に、消滅する筈だった幻想の世界――
なのに、未だに僕は"この世界"に存在している。
世界は終わってしまった筈なのに。
少女の手を握ろうとする。
しかし、もう隣に少女の姿はなく、僕の不格好な手だけが空を掴んだ。
ギシリと腕が軋んで、五感はないのに何故か痛みを感じた。
――ああ。
僕は知った。
――今度は僕が一人だ。
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