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雪は降り続いていた。
もう彼女の悲しみは消えてしまった筈なのに。
寒い冬は過ぎてしまった筈なのに。
未だに降り続いている。
僕は、積もった雪から抜け出そうと、もがいた。
でも、なかなか上手く抜け出せない。
やっと抜け出せても、雪に足をとられてすぐに転けてしまう。
抜け出そうと体重をかけると、体はまた雪に埋もれた。
その繰り返し…。
先の見えないマラソンのような感覚。
いつしか僕は疲れ果て…
――僕は動くことをしなくなった。
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