岡崎汐AFTER‐Ⅱ‐

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 「行ってきまーすっ!」  私は、快活な声を残して家を飛び出した。  今日は光坂高校の入学式――私、《岡崎 汐》の初登校の日だ。  今日から新たな学校で、沢山学ぶことになる。  新しい出会いもあるだろうし、新しい友達もできるだろう。  そう考えると、昨日はなかなか寝付けなかった。  自覚はなかったが、自分自身、楽しみにしていたのだろう。  私は、はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと歩き出した。と――  「汐、頑張ってこいよっ!」  声に振り返ると、お父さんがアパートの部屋の前で手を振っていた。  「しおちゃん、行ってらっしゃい」  お母さんもいた。  何だか少し恥ずかしい。……でも嬉しかった。  「うん、行ってくるねっ!」  私は、2人に手を振って再び歩き出した。
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