37人が本棚に入れています
本棚に追加
地面の温度を感じられなくなる程に、俺は延々と道を歩み続けていた。
素足で歩いている所為なのか、はたまた疲れの所為なのかは解らなかった。
時には生えている草に足首を切られながら、時には転がっている石に躓きながら。
傷だらけになりながらも、それでも俺は、道を歩み続けていた。
孤児になったという自覚はあった。父と兄は戦で、母は飢えて死んだ。
俺が母の食糧まで食っていたからだ。いや、無理やり母に食わせられていた。
お前は生きろ、お前は死ぬな、きっといつか幸せになれ。
毎日暗示のように囁かれ、死ぬ間際までそう言い続けた母の姿を、俺はきっと、忘れまい。
最初のコメントを投稿しよう!