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「畜生、あいつら、絶対殺してやる。殺してやるぞ」
その頃の俺は確か、五つか六つ程の年齢であった。
殺してやると呟きながら、父の形見である脇差しを胸に抱いて歩く俺の姿は、傍目から見れば異様だったであろう。
年端も行かぬ子供の生きる目的が、仇討ちとは。けれども、そうでもせぬ限り、俺は生きて行けそうにも無かったのだ。
或る日の夜、俺は柳の下で眠っていた。
空腹も限界。このまま死ぬやも知れぬ。いいや、死んでなぞやるものか。仇討ちを果たすまでは。
そんな事を考えながら眠りに就いていた所為か、夢見は悪いものだった。
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