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「誰、だ」
俺は思わず脇差しを強く握りしめた。隣に見知らぬ男が、心地よさげに眠っていたのだ。
その男は村で見ていたような男共とは違い、綺麗な着物を身に着けていた。体の線も細い。
武士ならば殺してやる。そう思い、男の腰に目をやる。刀は無かった。
さて、どうしたものか。このまま男が目覚める前に、立ち去っても良い。
けれどもこの男、それなりの家柄の様だ。風貌があまりにも、俺の暮らしていた村の者とは違っていた。
利用出来ぬものだろうか。乞うてみれば、握り飯の一つくらいは、恵んでもらえるやも知れぬ。
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