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気がつけば試合1日前になっていた。
俺は再び野球部の会議室で頭を抱えていた。
「まずい。・・・・・・このままじゃ間に合わない。」
一応の打順は決定しているが、まだ1番と4番が決まっていない。
トップバッターはまず選球眼、足が必要だし、4番はチームの柱。
ここぞという時には必ず応えてくれる。
候補は2人づつ上がっている。
1番には植原と伊達。
4番には伊達と上戸。
この二つだけが決まっていなかった。
「監督?」
「南野かぁ。参ったよ。全く決まらない。」
「まだ決まってなかったの?」
「あぁ。1番と4番がな。」
「えぇっ!?1番は朱美じゃない?それに4番も友利で決まりじゃない?」
そう、南野の言う通り俺が最初に考えていたのも全く同じなのだ。
植原は左打ち。更に100mを11秒9で走る駿足。正に1番に相応しい選手と言える。
上戸はパワーがあり、ホームランを打てる4番。
しかし2人には欠点がある。
この世に欠点がない人はいない。
植原はほぼ100%の確率で初球打ちをしてしまう。
上戸はパワーがある事でバッティング自体が荒くなり、ボール球でも手を出す事が多い。
トップバッターの役目は多いが、その中には相手投手の球筋や持ち球(変化球)をできるだけ投げさせ、それを味方に伝えるという役目もある。
何も出塁する事だけが1番じゃない。
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