越中争乱

9/16
前へ
/266ページ
次へ
そう激怒する成政の正面に腕を組みながら座り、目を瞑る鬼のような面をした男がいた。 この男こそが織田軍北陸方面軍の総大将であり越前・加賀・能登・越中の全権を与えられた柴田勝家である。 その側には佐々成政と同じく与力である前田利家、信長の直臣となった穴山信君・小山田信茂がいた。 勝家は重装の甲冑や鎧で身を纏い、忽然とした態度でいた。 成政も内心勝家の反応に恐怖を抱いてはいたが更に反論した。 成政「上杉は兵の大半を新発田重家討伐に割き僅か、武田の援軍とて良くて一万程! 正攻法で行けば勝ちは間違いありませんぞ!!!」 利家「落ち着け成政。 勝家様には考えがあるのだ!」 前田利家がまさに今にも飛び掛りそうな成政を止めた。 勝家「成政………… お主は必ずや勝てると申すのだな?」 目を開け成政を見た。 その視線は殺気とも思えるようなものだった。 成政「はっ!! 必ずや手柄を立てて見せます!!!」 勝家「ならば小山田殿と穴山殿、貴殿らは成政とともに迫り来るであろう武田・上杉を破ってもらえますかな?」 信君と信茂は内心嫌々ながらもそれを隠して了解した。 信茂「(ふんっ!! 何故このわしが猪武者とともに残らねばならん!)」
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1624人が本棚に入れています
本棚に追加