武田戦記

越中争乱

成政「全軍準備を終え次第一気に春日山城を攻め落とすのだ!!
急げーーー!!」

成政はニ万の大軍をまるで手足の如く器用に扱い指揮した。

信長の黒母衣衆筆頭を努めた成政にとって合戦の際の兵の動かし方は造作もなく、僅かな将を置いた形態で軍を動かしていた。

だがそんな中で小山田信茂と穴山信君達の部隊は他の諸部隊と比べて動きが遅かった。

信茂「全く………
成政のような猪武者の下に付く等ばかばかしいわ」

扇を煽りながら信茂は呟いた。

元々武田家での重臣としての高い位に居た信茂達は成政のような下から成り上がった者の下に付くのは嫌だった。

松原五郎兵衛「成政様、
小山田信茂殿、穴山信君殿両名の部隊共に我らの命令に従う様子が見えません」

成政の義理の息子であり家臣の松原五郎兵衛（以後五郎）は成政に報告した。

成政「やはりあの者共は我らの下に従うつもりは無いと言う事か。」

成政はとくに激怒する事もなく静かに報告を済ませた。

五郎「成政様!
あの者共は合戦に置いて一番の障害、後方に下がらせた方が上策と思います!!」

成政「構わん。
どうせならば武田に討たれた方がこちらとしても良いわ。」

そう言い成政は再び準備に取り掛った。